使うのも命がけのレンズ-アトムレンズ-
今日は、写真を撮るのも命がけ、という話題です。(^_^;)
「アトムレンズ」ってご存知ですか?
えっ!?鉄腕アトムの持ってるレンズ?・・・そんな、かわいいモンとはちがいます。(ーー゛)
アトム⇒原子⇒原子力⇒放射能。。。つまり、「アトムレンズ」とは「放射能レンズ」のことです。
昔は高性能なレンズを作るために、ガラスに酸化トリウムを添加していました。
有名なところでは、1953年にライツ社がライカ用に開発したズミクロン・レンズがあります。
酸化トリウムを添加したことで高屈折率とすぐれた色収差補正を実現し、「空気まで写る」と言わしめた名玉「ズミクロン 5cm F2.0」は、まさに「放射能レンズ」の代表と言えます。
当時は多くのカメラレンズが、このように酸化トリウムを添加して製造されていたそうです。
酸化トリウムを使用したレンズは、数年で黄色く変色する特性があります。
それはトリウムに含まれる「放射能」が影響しているからです。
ライツ社は1962年から酸化ランタンを採用し、酸化トリウムの使用をとりやめています。
しかし日本のカメラメーカは、なんと!1970年代まで酸化トリウムを使ったレンズを製造し続けていたそうです。
その中でもっとも有名(?)な放射能レンズが、当時アサヒペンタックスSPなどに装着されていた「スーパータクマーレンズ」です。
僕は今回、国産レンズでも最も危険と言われている「Super TAKMAR 50mm f1.4」のⅡ型(6群7枚構成、初期Ⅰ型の6群8枚から仕様変更されたもの)を入手しました。
Ⅰ型はレンズ名盤の表記1:1.4/50の後がAsahi Opt.Co. ですがⅡ型は写真のようにシリアル番号になり、これで区別できます。

そして、このレンズの生い立ちなどを調べている内に、「放射能レンズ」の存在を知ってしまったのです。(T_T)
まずそのトリウム度(?)を見てください。
明らかに経年変化で、レンズが黄色いですね。これは酸化トリウムの放射能の影響です。

最も特徴的にわかるのは、レンズの後玉です。
他のレンズ(50mm~58mmとほぼ同じ焦点距離で揃えました)と比較しても、タクマーレンズ(手前)が黄色いのがわかりますね。

で、世の中にはいろいろあるもんで、放射線計測協会から「はかるくん」という簡易放射線測定器(俗にいうガイガーガウンターですな)が
無料で貸し出されているらしく、いろんなサイトで計測したデータがありました。
まず、自然界にいて普通に人間があびている放射能度は
屋外で0.04(0.01~0.08)μSv/h、
屋内で0.06(0.02~0.12)μSv/hです。(放射線測定協会資料より)
ここでつかわれている単位 μSv/h(マイクロシーベルト/時間)は「線量当量率」といい、
「一時間あたりの人体への放射線の影響度」を示します。
さて問題のアサヒペンタックスのSuper-Takumar50mm f1.4ですが・・・す、すごい!
いろんなサイトの計測データを総合して、
前玉 1.000~1.213μSv/h
後玉 5.930~6.990μSv/h
・・・後玉は自然界で人間が1時間に浴びる放射能のなんと100倍!
単純計算しますと、このレンズをカメラに装着して肌身離さずぶら下げて撮影する場合、
約75時間で人間が1年間に浴びる放射線量を被爆することになります。\(◎o◎)/!
しかし別のサイトでは、距離による線量の漸減も計測していました。
測定場所(木造屋内)の自然値がおおよそ0.050μSv/h
レンズから測定器までの距離0cmで約6μSv/h(120倍)であるものが、
10cmの距離で0.250μSv/h(5倍)まで激減し、
30cmで0.080μSv/h、
50cmで自然界レベルへと逓減したという結果です。
つまりこの危険なレンズを使うためには、人体から50cm離れた場所に保管し、撮影する時も常時携帯、携行しないことを心がけるということです。
このタクマーレンズの放射能はレンズ工業界では有名だったらしいのですが、他のメーカ(キャノンやツァイスなど)でも古いレンズでトリウム添加ガラスを使ったものが、まだ出回っているようですよ。
みなさんのお持ちのレンズは、大丈夫ですか?
僕はこの危険なレンズを手放すかどうか、まだ決心していません。
いったいこのレンズで撮ると、どんな写真が撮れるんだろう。。。写真好きなら一度は撮って試してみたい。
みなさんなら、どうしますか?(^^;ゞ
「アトムレンズ」ってご存知ですか?
えっ!?鉄腕アトムの持ってるレンズ?・・・そんな、かわいいモンとはちがいます。(ーー゛)
アトム⇒原子⇒原子力⇒放射能。。。つまり、「アトムレンズ」とは「放射能レンズ」のことです。
昔は高性能なレンズを作るために、ガラスに酸化トリウムを添加していました。
有名なところでは、1953年にライツ社がライカ用に開発したズミクロン・レンズがあります。
酸化トリウムを添加したことで高屈折率とすぐれた色収差補正を実現し、「空気まで写る」と言わしめた名玉「ズミクロン 5cm F2.0」は、まさに「放射能レンズ」の代表と言えます。
当時は多くのカメラレンズが、このように酸化トリウムを添加して製造されていたそうです。
酸化トリウムを使用したレンズは、数年で黄色く変色する特性があります。
それはトリウムに含まれる「放射能」が影響しているからです。
ライツ社は1962年から酸化ランタンを採用し、酸化トリウムの使用をとりやめています。
しかし日本のカメラメーカは、なんと!1970年代まで酸化トリウムを使ったレンズを製造し続けていたそうです。
その中でもっとも有名(?)な放射能レンズが、当時アサヒペンタックスSPなどに装着されていた「スーパータクマーレンズ」です。
僕は今回、国産レンズでも最も危険と言われている「Super TAKMAR 50mm f1.4」のⅡ型(6群7枚構成、初期Ⅰ型の6群8枚から仕様変更されたもの)を入手しました。
Ⅰ型はレンズ名盤の表記1:1.4/50の後がAsahi Opt.Co. ですがⅡ型は写真のようにシリアル番号になり、これで区別できます。

そして、このレンズの生い立ちなどを調べている内に、「放射能レンズ」の存在を知ってしまったのです。(T_T)
まずそのトリウム度(?)を見てください。
明らかに経年変化で、レンズが黄色いですね。これは酸化トリウムの放射能の影響です。

最も特徴的にわかるのは、レンズの後玉です。
他のレンズ(50mm~58mmとほぼ同じ焦点距離で揃えました)と比較しても、タクマーレンズ(手前)が黄色いのがわかりますね。

で、世の中にはいろいろあるもんで、放射線計測協会から「はかるくん」という簡易放射線測定器(俗にいうガイガーガウンターですな)が
無料で貸し出されているらしく、いろんなサイトで計測したデータがありました。
まず、自然界にいて普通に人間があびている放射能度は
屋外で0.04(0.01~0.08)μSv/h、
屋内で0.06(0.02~0.12)μSv/hです。(放射線測定協会資料より)
ここでつかわれている単位 μSv/h(マイクロシーベルト/時間)は「線量当量率」といい、
「一時間あたりの人体への放射線の影響度」を示します。
さて問題のアサヒペンタックスのSuper-Takumar50mm f1.4ですが・・・す、すごい!
いろんなサイトの計測データを総合して、
前玉 1.000~1.213μSv/h
後玉 5.930~6.990μSv/h
・・・後玉は自然界で人間が1時間に浴びる放射能のなんと100倍!
単純計算しますと、このレンズをカメラに装着して肌身離さずぶら下げて撮影する場合、
約75時間で人間が1年間に浴びる放射線量を被爆することになります。\(◎o◎)/!
しかし別のサイトでは、距離による線量の漸減も計測していました。
測定場所(木造屋内)の自然値がおおよそ0.050μSv/h
レンズから測定器までの距離0cmで約6μSv/h(120倍)であるものが、
10cmの距離で0.250μSv/h(5倍)まで激減し、
30cmで0.080μSv/h、
50cmで自然界レベルへと逓減したという結果です。
つまりこの危険なレンズを使うためには、人体から50cm離れた場所に保管し、撮影する時も常時携帯、携行しないことを心がけるということです。
このタクマーレンズの放射能はレンズ工業界では有名だったらしいのですが、他のメーカ(キャノンやツァイスなど)でも古いレンズでトリウム添加ガラスを使ったものが、まだ出回っているようですよ。
みなさんのお持ちのレンズは、大丈夫ですか?
僕はこの危険なレンズを手放すかどうか、まだ決心していません。
いったいこのレンズで撮ると、どんな写真が撮れるんだろう。。。写真好きなら一度は撮って試してみたい。
みなさんなら、どうしますか?(^^;ゞ
by hirotons
| 2008-01-29 13:46
| カメラネタノタネ
ココロに残る懐かしい風景を探して彷徨う、ブラパチ写真家「探邑 Tan'yu」のブログです。
by hirotons
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